太閤立志伝Ⅴ AAR「月光を照らす日輪」 第一話

制作:KOEI
販売機種:WindowsXp/Vista/7(※要DirectX9.0)
種別:リコエーションゲーム 定価:KOEI The Best版3800円(税抜)
Windows10では遊べません
PSP版 PS2版がオススメです
http://www.gamecity.ne.jp/products/products/ee/new/taikou5/
選択シナリオ:日輪の章
主要キャラクター

主人公。猿顔したイケメン

親友&相棒。

魔王な上司。怖い人
何だかんだいっても、ようやく俺は侍になった!
夢の異世界転生ってヤツだ!死んじゃないがな!!
いや、死んでいたも同然か。
何をやってもうまくいかない、他人には嘲笑され、踏みにじられ、ツバをはきかけられる・・・見ていろ、報恩報復・・・必ず受けた報いは返してやる!

俺の中から黒い笑みがこぼれ落ち・・・
って、それを覗くオナゴが一人!?

「こ、これは、ねね殿・・・」

「どうかされたのですか?」

「念願であった足軽頭に取り立てられて頂き、嬉しさのあまり、つい・・・」

「まぁ、おめでとうございます」
そうだ。俺も士分に取り立てて貰えたのだ、
身分の壁に遮られ、声をかけるのもはばかれた
ねね殿を妻にすることもありえなくは無い・・・

「ぐふふふ・・・」
猿と小馬鹿にされていた下郎の俺が、
侍の女を娶るなど痛快な話では無いか!

「まぁ、まぁ、そのように喜ばれて嬉しかったのですね」
いや、いや、待て。落ち着け
未だに何の功も無き身ではそれもかなわん。
誰もよりも功績を挙げるのが先決だ。

「見ていてくだされ、ねね殿!
俺は誰にも負けはしませんぞ!」

「え?えぇ・・・頑張って下さいませ」
ん?不思議そうな顔をして、ねね殿が見ている。
何かおかしなことを、俺は言ったか?
1560年3月1日・・・

信長様に取り立てて頂いた翌日、織田家の命運をかけた評定が開始された。
そしてその席に・・・末席だが、
俺も足軽頭として出席することができた。


「ここだけの話、物凄く緊張している」

「はは、だろうな。何しろ織田家の重臣の方々もおられるのだ・・・そうだ。何人か、教えてやろうか?」

柴田勝家と佐々成政は既に知っているので、そのほかの人物を教えて貰った。

丹羽長秀。合戦だけでは無く、内政にも通じ、特に築城に関しては織田家でも随一だという。織田家に米のように、欠かせない存在で「米五郎左」と言われているらしい。

こいつは滝川一益。
俺と同様に信長の野郎に取り立てられた。
素性は良くわかっていないが、どうも素破や忍者の類だという話もあるらしい。
銃という武器の達人と言う話もあるが・・よくわからん。

「これまた面妖な御仁ではありますな」
どうも信長という野郎は、変わり者、はぐれ者、一匹狼、変人の類を好む傾向があるようだ。
もっとも、俺からして人に猿と指差される奇人の類ではあるが・・・


「逆に考えれば、様々な技能を有する者達の集まりともいえるな利家!」

「その通りだ。これは言うなれば経験を積む好機でもあるわけだ」


「・・・なるほど、上手く人に取り入り、モノを教わって自分の身に技術を取り入れる、ということか」
そう、そして・・・
見につけた技術で、いつの日か俺は大出世してやるんだ!
夢は大きく、一刻一城の主!ねね殿を妻にすること
そして、俺を馬鹿にし続けてきた奴らを全員・・・

へへぇ!申し訳ございません!
(うるせぇのはオメぇだろ脳足りんが
いつか、テメェのハラワタに石を積めて街道沿いの地蔵の首にかけてやる)
頭を下げてベロを出す。
面従腹背。
俺は、必ず殺すと決めた相手には
底なしに優しくなれる男なのだ。

やめてくれ、利家。
お前を殺せなくなっちまう。

「やや、信長様が参られましたぞ!!」
そうこうしているうちに、信長の野郎がきた。
いつにもましてすましていやがる。
俺は満面の笑みを浮かべて頭を下げる
ムカツク奴だが俺の主君だ。


「評定を始めるぞ。天下統一を狙う、な」
度肝を抜かれた。
尾張の片田舎の武家が天下を狙う?
思わず周囲の顔を見たが、みな、平然としていた。
なれているのだろうか。
利家も静かにうなずくのみだ。


「とはいえ、国の内情が定まらなければ画餅よ。今回は内政を行う異存はある者はおるか?」
誰も声をあげない。俺もだ。
そもそも発想が大きすぎて、俺の頭の中では処理ができていないので、何も言えない。というのが正しい所だが・・・

「意見は無いようだな。では皆の者、おのれがなすべき主命を選ぶが良い」
信長の小姓たちが巨大な板を持ってきた。
そこには様々な任務が張ってある。
俺が受けられる仕事は・・・

一覧を見て、俺はすぐさま手を上げた。

「それでは殿!拙者は兵糧売却の任に付きたいと思います」
前の方で笑い声が聞こえてきた。
佐々成政だ。

「銭を扱うなどヨゴレの任に尽きたいとは出自が透けて見えるな。ま、兵糧を売るなど猿にでもできる下っ端の仕事。精々、励むが良い」

見れば佐々成政は信長から直々に城の工事を任されている。
なるほど、これが身分の違い、家格の違い。立場の違い。というわけだ。
必ず殺してやる。

「「いやはや、銭と米の動きは当家の血の巡りも同然!これを怠ると倒れ、無ければ死に至ります。このような重要な任に就けるとは、この藤吉郎、誉れの限り!」
これ見よがしに大声で言い放つと、
佐々成政を見返して笑顔を浮かべた。

「成政の治安活動費用を捻出するためにも頑張りませんとな」
佐々成政がバツの悪い顔をしてこちらを見ている。
お前が十分働けるのも俺たち下っ端が働いているからだ。
ザマァ見ろ。馬鹿が。

「分かっているのなら、兵糧を規定通り売ってまいれ」

「はっ!お任せ下さいませ!」
評定が終り、皆が立ち去ろうとしている最中。
佐々成政がこちらを憎々しげに見ているのに気がついた。


「お前が余計な事を言うからだ」
隣にいた利家が俺に耳打ちをしてきた。
何を言っているケンカを売られたのは俺で、むしろ被害者だ。
ともあれ、何の行動もしないのも癪に障る。
俺は、あらん限りのとびっきりの笑顔で返した。

何人かの諸将は、それを見て苦笑していた。
多分、彼らは俺の笑顔の意味を勘違いしているはずだ。
それで良い。
笑顔を忘れてはいけない。特に自分が殺そうとする相手には。
なぜなら口角を上げる所作は、
獲物を狙う動物の攻撃態勢を示すものなのだから。
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