EUローマ - ローマな休日 第八話「イリュリア崩壊」

登場人物

ローマ元首/独裁者。特質:冷静で疑り深く、ストレス持ち。公正さと策謀の特質も後に追加された。物静かで冷静な人物だが、敗戦において殿を務めるなど意外と熱血。

ローマの元首を支えために来た極東の相談役。個人よりも組織に忠を誓う。弱音を吐くものは士道不覚悟で切り捨て御免!


ロムルス紀元499年~505年
度重なる戦争で疲弊したローマであったが、内政重視の姿勢をとり、体力回復を勤めた結果。今までに無い強力な軍隊を保有するに至った。
ローマ執政官マルクス・アエミリウス・パウッルスは、戦力回復の手始めに、バルカン南部のスパルタを制圧しすると、次に宿敵カルタゴとの決着をつけるべく、カルタゴに対して宣戦布告を行った。
当初、エジプトとの戦争に疲弊したカルタゴを殲滅するのは容易いと思われていたが、堅固な守りを固めていたカルタゴ軍により、上陸作戦は失敗。ローマは多大なる犠牲を払うことになる。
エジプトからの侵攻を計画したマルクスであったが、元老院の強い反対により、エジプトとの交渉を行うことができず、陸路よりの進撃を断念。
再びカルタゴに対して上陸作戦を行うも、これに失敗し、ローマは決め手を失ってしまう。
カルタゴに起きたら内乱に乗じて、ローマ軍は、コルシカ島を得ることができたが、それ以上、行動を起こすことはできなかった。
執政官マルクスは、これ以上の元老院の存在はローマ軍にとって利あらずとして、元老院を制圧する。
元執政官ルキウス・ユリウス・リボは、元老院を守るべく、マルクスに対して反逆の狼煙をあげたが、本国イタリア半島では無く、地中海を隔てたバルカン半島における決起は、マルクス打倒には有利とならなかった。
素早く軍勢を集めたマルクス軍は、バルカン半島に立て篭もっていたルキウス反乱軍を撃破した。こうして執政官マルクスは、元老院を解体して、評議会を立ち上げ、自らを終身統領…すなわち、独裁者としてローマに君臨することとなったのである。

国家状況
<プレイヤー国家>
ローマ:独裁政権となったが、その余波で国内は不安定に
<友邦国>
マッシリア:ローマの属国。戦争も無くまったり中
アイトーリア:ローマの友好国。いつも漁夫の利を得ている
<敵対国>
マケドニア:あっちこっちと同盟し、いつも戦争をしている。
イリュリア:蛮族襲来に気を抜けない毎日を送っている。
<その他>
カルタゴ:ローマの宿敵/エジプトに圧倒されている
エジプト:アフリカの超大国。カルタゴを美味しく頂いている
セレウコス朝:東の超大国シリア。内乱により瓦解状態。


「…独裁政権となったは良いが、反乱率が軒並み高い…な」

「元老院を倒すために、かなり無茶をしましたからね。
我国の圧制値は21もあります」


「…ふぅ。わかってはいたが…生まれ変わりなどというものが、もしあっとしたら…自分の書かれた歴史のページだけは見ないことにしよう」

「何をおっしゃられる。政治は結果。経過ではありません。例え、いま、この一瞬悪名が高かろうと、何を成し遂げられたかで、後世の歴史は変わります」

「…そうだな。そう考えるとしよう。しかし…」

「何でしょうか?」

「…この統治者の地位だが…次の後継者が私の息子となっているようだ…な」

「はい、そのとおりですが、何か?」

「…ふむ。終身統領とは言え、王族では無い。一応は共和国なのだから、次は実力者がなるのが相応しいと思うのだが」

「そうですね…私も、政権のさいに法整備に携わったわけではありませんから、何ともいえませんが、一応、ご子息がいない場合に、大宰相の地位にいる方…実力者ですか?が、終身統領の地位につかれるようです」

「…ふむ。共和制独裁で、一族が代々元首となるなど、聞いたことが無いような気もするが…どうなのだ?」

「遥か極東の半島に『民主主義人民共和国』という名のつく国家がありますが、やはり代々一族が元首になっております。問題は無いとおもいます。
ぶっちゃけ独裁制は君主制度ですし」


「…さよか」

「男系男子に継承権が与えられる。すなわち総書記系男子。というヤツですね」

「………」

「………」

「…それは、ともかく対外状況はどうなっている?
先だって評議会から、マケドニアを制圧すべしとの決議がなされた。

現状ではバルカン介入は難しいと思うが、諸外国の情勢を見てみたい」

「は、はい(華麗にスルーされてしまった…)
現在の状況について説明致します。

前回は反乱などで詳しく説明できませんでしたが、
現在、エジプトはセレウコス朝(シリア王国)と軍事同盟を結んでおり、
エジプトのカルタゴ宣戦布告と同時に、セレウコス朝(シリア王国)も
カルタゴに対して宣戦布告を行っていた模様です」

「…エジプトとセレウコス朝(シリア王国)が軍事同盟を締結していたのか?」

「現在、地中海で最強の二大軍事大国が同盟を結んだ…これは大変憂慮すべき事態ではありますが、同時に特に気にする必要は無いとも言えます」

「…理由は?」

「セレウコス朝では現在、国を二分するほどの大内乱が発生しており、とてもカルタゴにまで兵を回せる状況には無いからです。その証拠にカルタゴ領内はおろか、地中海にすらセレウコス朝の軍を見ることはありません」


「…ふむ」

「また、エジプトにおいても、度重なるカルタゴ遠征により人員が枯渇したためか、動きが鈍く、領土においてカルタゴを圧倒しているのにも関わらず、攻めきれていないのが現状です」

「…なるほど、な」

「ただ、だからといってカルタゴが安泰と言うわけでもありません。カルタゴの内乱は続いており、カルタゴ正規軍と、カルタゴ反乱軍は不毛なる戦いを続けているのが状態です」

「…一致団結しておれば、エジプトを押し返すこともできたろうな」

「これもまた人間の悲しさでしょう。あと、カルタゴに関して、もう一つ…」

「…なんだね?」

「支援要請が我国に対して行われました」


「…なに?」

「我が祖国では『敵に塩を送る』という故事があります。弱っている宿敵に支援をおくるのもまた、正々堂々たる士(サムライ)たるものの勤めでしょう」

「…卿は、本気で言っているのかね?」

「単なる建前ですね。問題の本質は、ローマに利があるかどうか…それだけです」

「…所見を聞こう。カルタゴに対してどういう戦略をもっている?」

「まず、カルタゴに対する案は幾つか考えられます。
①カルタゴに支援、すなわち資金提供をし、エジプトの押さえとする。
②カルタゴに軍事同盟を含む積極に支援を行う。
③カルタゴ反乱軍を制圧し、傀儡として、陰に陽に支援しカルタゴをローマの属国にする。
④何もせず見守る」

「…反乱軍を傀儡にして、カルタゴを属国にする案か…なかなか、そそる話だが、それは資金や兵がある場合に限られるな」

「まぁ四番以外はすべて資金が必要です。二番にいたってはエジプトとの全面衝突も視野にいれる必要があります…まぁ、現状では無茶な案ですね」

「…先のカルタゴとの戦いで兵数も不足し、資金も乏しい現状では国内の治安を守るだけで精一杯…とても何かに回す余裕は無い」

「結論はでましたね。何もしない。それが一番でしょう」

「…そうだな。戦力回復を優先しよう。そういえばマケドニアの情勢を聞いていなかったが…バルカン半島はどうなっている?」

「バルカン半島は平和そのものです。マケドニアでは一応内乱が起きたようですが、これも鎮圧されています」

「…なるほど、な。しかし、現在内乱中であっても、同じことだな。内政重視、兵力回復の方針に変わりは無い」

「そうですね。兵力を回復しないとどうにもなりません」

「…歯がゆいか?ヒジカタ」

「仕方ありません。考えようによってはローマは建国したばかりなのですから…」


ローマは再三にわたるカルタゴの支援要請を無視し、内政重視、兵力回復につとめた。
内政においてはローマ全土に灌漑用水を引き、税率の上昇をはかり、軍事においては、海軍力の増強と、二度目の陸軍の再編を行ったのである。

「陸軍の陣容ですが、今までは騎兵2重歩兵3弓兵2の計7部隊をもって一軍としてきましたが、これからは、騎兵4 重歩兵5 騎馬弓隊3を持って一軍とします」

「これは大規模な改変だな。今まで育ててきた弓兵は全て解散させるのか?」

「はい、弓兵は弱くはありませんが、やはり騎馬弓隊と比べると劣ります。何より機動力が騎馬弓隊の方が高く、指揮官の能力いかんでは三倍の兵力でも戦局を挽回することも可能です」

「…ふむ。弓兵を解散させて生まれた余剰人員を全て騎馬弓隊と編成するのか」

「弓兵の皆さんには新規一転、馬に慣れてもらいましょう」
こうして、軍の再編成は行われたが、目的はほぼ反乱の鎮圧と、蛮族の撃破に用いられた。あまりにも高い圧制率は、反乱を誘発し、各所で散発的な反乱が起きていたのである。特に新たに得た領土では、ナショナリズムが残っており、高い圧制率は農民による反乱を招いたのである。

「…独裁者としての不人気は相当なものだな…」

「分かっていてやったこととは言え、いささか厳しいですな。マルクスさんの人気も面白いように下がっていっています」

「…人気が下がれば、その低下分が反乱率に上乗せされる。負の連鎖だな」

「だからこそ、常に前線で戦い続けるのでしょう?」
戦闘に勝利した場合、凱旋パレードを行うことができる。
凱旋式は、個人に栄誉を与え、庶民の人気度を100%まで押し上げる効果がある。

「…つまり、だ。皆の支持を得るために戦いを続けなければならないわけだ」

「まぁ人気稼ぎのために戦争を行う。というのは遥か昔からの政治戦略の一つです。誤解を恐れずに言うのならば…幸い、蛮族の侵入や反乱のおかげで、他国へ戦争を行わずに凱旋式を行うことができます。圧制度の高い我国にとっては、むしろ、これらの戦闘は福音でしょう」

「…うむ。そう、考えよう。所で…このような計画があるのだが、卿はどう思う?」


「…?モニュメントの建設?首都に像でもつくられるのですか」

「…そういう計画が出ている。独裁者となった私の偉業を称えてな」

「ふぅ、どこの腰ぎんちゃくが考えた案だか知りませんが、およしなさい。そうでなくても軍事再編や、内政開発で国庫が厳しい上、こんなモニュメント何てつくったら、どれだけ市民から反発をくらうかわかりません」

「…だろうな。だが、既に圧制者として嫌われている。これ以上嫌われた所で、どうということも無かろう」

「…何を言っているんですか?人気を回復するには、戦闘をしなければならないんですよ。それに、今言ったように国庫が厳しく…」

「…ちょっと、こっちへ」

「…何ですか?」

「…実はな…市民も勘違いしているが…このモニュメント製作費用は…自費なのだ」

「…なんですって?」

「…何度も言うようだが、重要なことは自分でやらぬば気がすまん。国費を使うのなら、やりはせんか、自費となれば別だろう」

「…はぁ…そうなんですか…しかし、市民はそんなことを知りませんが人気は下がりますよ?」

「…だが、このモニュメント像を作れば…観光客が増えるせいかはしらないが…とにかく国民の数が増える…それは国力増大につながる、人気が無くなっても安いものだ」

「…まぁ資財を投入すると言うならば別に止めはしませんが…そういえば建設費を聞いてませんでしたが、幾ら必要なんですか?」

「…2000だ」

「年間国家予算の50年分!?」

「…我が財産の三分の一を使う一大事業だ」

「意外と溜め込んでますね!?」

「…それぐらい許せ。でなければやってられん」

「…ふぅ、やれやれ…別に良いんですけど、国家を破綻させなければ…」


カルタゴとエジプトの戦いは泥試合の末、エジプトの勝利となった。
しかし、エジプトはカルタゴとの戦争終了後、内乱が勃発する。
だが、今回のエジプトの内乱は、本国の九割が反乱軍の手に墜ちているという状況となっており、多くの見方では、この内乱はすぐに終結するだろうと考えられていた。
一方、長い間反乱に悩まされていたセレウコス朝は、ようやく反乱軍を鎮圧し、安定に向けて活動しはじめる。
…そしてローマ近郊バルカン半島では、大規模な内乱が起ころうとしていた。

「マルクスさん、ご報告します。イリュリアにおいて大規模な反乱が勃発しました」

「…ほう、イリュリアで」


「イリュリアに介入する好機です!軍を進めましょう」

「…イリュリアに宣戦布告するのか?」

「いえ、イリュリアでは無く、イリュリアの反乱軍に、です」

「…なんだと?」

「ご存知だとは思いますが、反乱軍相手にも外交を行うことができます。反乱軍相手ならば大義名分も必要ありません!それに、まだ、どこも正義ぶって保護宣言している国もありません!電光石火に攻撃を行いつぶしましょう!」

「…反乱軍の領土を制圧すれば、正規軍の領土に戻るだけではないのかね?」

「イリュリア正規軍と軍事同盟を結んでいれば、返還しなけれならない事態も生じますが、イリュリアとは無関係に反乱軍に宣戦布告をすれば、通常の占領と同じ扱いになります、」

「…なるほど。外交交渉で領土を得られるというわけだな?」

「やるなら今です!正規軍が倒されてしまえば、反乱軍は、そのまま正当国家となります。統一される前に、戦力が二分され、内乱で弱まっている今なら、現在のローマ軍でも制圧することが可能になります!」

「…よろしい。ちょうど人気も下がってところだ。支持率を上げるために戦うのは…正直好ましくないが」

「大丈夫です。アメリカでも良くやっていることです!問題ありません」

「…アメリカ?それはどこの国だ?」

「アメリカというのは、あ~何といいましょうか、ブリタニアの分派です。細かいことは気にせず行きましょう!」

「…うむ」


イリュリアで起きた大規模な反乱は、正規軍が壊滅し首都が制圧される直前に、ローマ軍による介入という事態により一変した。
イリュリア反乱軍はローマ軍の前に壊滅し、全領土を制圧されて、反乱領土の大半をローマに譲渡せざる終えなくなった。
余力のあったローマ軍は、そのままイリュリア正規軍に対しても、宣戦布告。
反乱軍により壊滅状態の正規軍がローマ軍を撃破できるわけもなく、半年もかからず全面降伏という状態に陥った。
イリュリア領土を手に入れたローマ軍は、北方のモエシに殖民を開始。
蛮族を撃破し、植民地にすることに成功する。
これにより、ローマは、北部三領土を手中に収めることに成功したのである。


「イリュリア国民は、ことの顛末にさぞ驚いていることでしょう。自分達を助けにきた救世主が、よもや侵略者だったと…ね」

「…統治能力が無いのが悪いのだ。外国への隙を見せるからこうなる…偉大なるローマの一部とさせ、より文化的で安全な生活を与えることこそが正義。そうは思わぬか?」

「…まさに、アメリカですね」

「…?
ブリタニアに、それほど覇権国家が存在していたのか?」

「…いえ、そうではありませんが(自分で覇権国家言ってしまうか)」

「…何にせよ。一国づつ残っているイリュリアを制圧し、バルカンを手に入れる事ができれば、それで作戦は終了だな」

「欲を言えば、このままマケドニアを手に入れたい所ですが…」

「…勝利は六分から八分を良いとされている。一気に多くの領土を得ても管理しきれまい。それにマケドニアは一枚岩だ。分裂状態ならともかく、正面から戦争をすれば、前回の戦争の二の前になろう」

「大変失礼致しました」

「…今回はさほど兵力を消耗せずに勝利できた。さらなる兵力増強に勤しもう」
ローマな休日-第八話「イリュリア崩壊」
ローマな休日-第七話「サイは投げられた」
ローマな休日-第六話「欲望の挽歌」
ローマな休日-第五話「蛮族襲来」
ローマな休日-第四話「殲滅エピロス」
ローマな休日-第三話「攻撃マグナ・グラエキア」
ローマな休日-第二話「交易と外交」
ローマな休日-第一話「周辺状況」
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この記事へのコメント
はい、そうです><
直しておきます。どうもすいません
直しておきます。どうもすいません
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