EUローマ ローマな休日 第十話「カルタゴ滅亡」

登場人物

マルクスの息子。特質:寛大で信じやすい。また好戦的で皮肉屋。ついでに汚職の特性も持ち合わせている。能力は軍事3人徳7技量3。絵に描いたような二代目。

ローマの元首を支えために来た極東の相談役。個人よりも組織に忠を誓う。弱音を吐くものは士道不覚悟で切り捨て御免!


ロムルス紀元516年~529年
エジプトの内乱に乗じて勢力拡大を狙ったマルクスであったが、志半ばで無念の死を遂げる。
父の野望をむねに、息子ティトゥスは活動を開始するが、あまりの軍事能力の低さに足を引っ張られ、勝利してもなぜか損害が敵の十倍という、無意味な消耗戦をくりひろげつつも、エジプト反乱軍からサルデーニャ及び、パノルムスを得る。
進撃はさらに続き、宿敵カルタゴを蹂躙、アフリカ最西部を得ると、次に目標であったマケドニアも制圧にも成功する。
バルカン半島をほぼ掌握したローマ軍は、バルカン半島における殖民をも開始し、跋扈する蛮族に悩まされつつも東部における勢力をさらに拡大していった。

国家状況
<プレイヤー国家>
ローマ:国内安定に努める一方、隙あらば侵略も狙う
<友邦国>
マッシリア:ローマの属国。戦争も無くまったり中
アイトーリア:ローマの友好国。そろそろ立場が危うい
<敵対国>
マケドニア:ローマにより壊滅
イリュリア:ローマにより滅亡
<その他>
カルタゴ:ローマの宿敵/ローマにより滅亡寸前
ヌミディア:ローマにより滅亡
エジプト:アフリカの超大国。内乱パラダイス
セレウコス朝:東の超大国シリア。内乱により瓦解状態。

「バルカン半島も制圧して、今やローマは意気揚々!僕も鼻が高い」

「そうですね。現在、ローマの勢力範囲は地中海の半分以上に及びます」

「うん、うん、というわけで僕の銅像を首都に建てることにしたよ」

「ハァ?」

「父上の銅像の横に建てるのさ。きっと立派なで華やかなものになるに違いない!」

「…い、いえ。
資金はどうするですか?
結構な、莫大な建設費用がかかりますよ」

「金はあるから大丈夫!」

「なんですと?いったいどこにそんな…

汚職度50%だと!」

「そ、そんなに驚くとじゃないだろ…ほら、独裁者の特権ってヤツだよ☆」

「何が特権ですか!これは明らかに賄賂じゃないですか!」

「で、で、でもさ、父上もちょ~とはやっていだしょ?」

「父君の汚職度は10%でした。これは、お礼返しや、お歳暮をもらった程度のものでしょう…しかし、なんですか!貴方のこの汚職度の高さは!」

「そ、そ、そ、そんなに怒らなくても!」

「怒らないでか!汚職度50%などと…言い換えれば貴方の半分は汚職で出来ているようなものです!」

「ひどいや!ひどすぎするぅ!!!何も構成因子レベルで否定することは無いじゃないか!?」

「国家の年間歳入何年分の資金を不当に有する人間に、容赦なぞするわけないでしょう!」

「うう、鬼だ…ここに鬼がいる…そうか、これが鬼のヒジカタなのか…」

「とにかく、作りたいのなら勝手に作りなさい!私は知りません!」

「ヒジカタさ~ん、待ってぇ~」


バルカン半島を手中に収めたローマ軍であったが、そこに待ち受けていたのは、蛮族という名の災害であった。
彼らは豊かな土地を目指し、年がら年中ローマ領土に侵攻してくるありさまであった。
ローマ軍はそのたびに戦い、勝利を得ていたが、いくたびかの戦いの中では、領土を占領され、都市を略奪される事態に陥った。
蛮族に領土を奪われた場合、蛮族と交渉が可能となるが、基本的には定住を求め、市民としていく方針として、これに対処した。
文化が変更される可能性もあったが、これにより市民が増え、結果的に戦力増強へとつながることになる。
そうして、着々とバルカン半島の下地を整えていた頃、その事件は起きた…

「ヒジカタさ~ん。助けて~」

「何ですか、騒々しい。あと、その「どらえも~ん、助けて~」みたいな感じで呼びかけるのは止めなさい」

「どらえもん?って何?」

「…何でも願いを叶えてくれる道具を出してくれる猫の神様のようなものです」

「はて?ギリシャ神話にそんな神様がいたかな…あ、あれかエジプトの神様か?確か黄泉の…」

「んなことはどうでもいいですから、さっさとお話なさい!
…で、どうされたんですか?」

「ああ、そうだ!聞いてくれ!人妻を孕ませて認知したら家臣達から反感を受けて国が分裂しそうなんだ!」

「貴方の言わんとされることが、全く理解できないのですが」

「ああ、もう、ヒジカタさんは意外とバカ!」
ドガッ

「ひぃいいい!殴った!ローマの元首を!最高執政官を殴ったぁあああ」

「執政官が殴られた程度で泣くな!
…で、何なんですか、要約せずに詳しく説明して下さい」

「う、うん。その…うら若き人妻と、薔薇の夜明けをうつろう甘美な世界に漂ったのが…」

「無理に詩的にしようとせずとも結構。時間の無駄です。さっさと要点だけ話なさい!」

「…もう、ヒジカタさんは、感受性のカケラもないなぁ」

「…仕事を思い出しました。失礼します」

「待って!ごめんなさい!話すから行かないで!」

「…やれやれ、つまり不倫をしていたということですね」

「…そういう事なんだけど…それで、その、子供ができちゃって…」

「…ふむ」

「…んで、仕方が無いから認知したんだけど…それで、継承権がついてしまって…いや、ついたのは良いんだけど…その、僕の長男がね流行病で死んでしまったんだよ」

「…なるほど、つまり、その非嫡子…いえ、認知され家族に加えれたのでしたら、そう次男の方ですか、その子が第一継承権をお持ちになられたと」

「…そうなんだよね。で、評議会の皆がね…その子の継承権に猛反発しているんだよ」


「…ふむ、名前はヌメリウス・キンナ…ですか、アエミリウス家系氏族名も無いようですね…どこの馬かも分からぬ、いや、本当に閣下の息子か怪しい状況では、評議会のメンバーも納得しないでしょうね。それならば血統の確かな弟君の方に支持が集まるのも道理…」

「このままじゃあ、国を二分する大内乱になってしまうよ!どうしたら良い!?」

「…そうですね。法の定める継承権第一位の人物を、暗殺したり投獄したり出来ませんからね」

「いきなり何を言っているだ!?」

「問題の解決には根本から処理するのが一番です。そもそも、貴方が非嫡子をお認めになられたのが原因です。火遊びも結構ですが、もうすこし自重なされよ」

「…うっ、でも、いきなり投獄や暗殺なんて」

「ふむ。どちらにせよ、統治者の子供に対しては暗殺や投獄はできない決まりとなっています。…は、弟君の方を拘束しましょうか?これならば問題ない無くできます。ただし、失敗した場合は、やはり内乱の可能性が…」

「そ、そういう野蛮な行為はダメだよ!もっとスマートな方法は無いのかい!?」

「確かに…圧制度も高まってしまいますしね、すると評議会のメンバーを入れ替えるしかないですね」

「評議会メンバーを入れ替える?」

「その子供を支持している人達を評議会メンバーにしてしまうのですよ。評議会の過半数が、支持者に回れば内乱も起きないでしょう」

「…でも、今の評議会のメンバーは優秀だから外したくないなぁ」

「優秀な人達は、技術開発にでも回したらよろしいのでは?評議委員になるぐらいですから、素晴らしい仕事をしてくれるはずです…それとも、弟君の粛清を行いますか?」

「…わ、わかったよ。評議会の入れ替えをするよ」


様々な混乱を生んだ非嫡子の存在は、不倫で産まれた子供を良しとせず、我が子を継承者にしたいという正妻による暗殺…という形で幕を閉じた。
暗殺により、は死亡し、継承権は三男に渡ったのである。
これにより、ローマ内の対立は解消され、内乱による危機は脱したのである。
なお、この暗殺劇に対して、正妻が罪に問われることはなかった。

「さすがは我が妻!夫の気持ちを良く分かってくれる賢妻だね!」

「そのような晴れ晴れとした顔でよく言えたものですね…そもそも、血なまぐさい行為はお嫌いではなかったのですか?」

「うん。自分じゃ命令とか、したくなかったね。後味悪いし!」

「………」

「さぁ~って、ここいらで一呼吸できたことだし!英雄伝説を再び始めようか!」

「寝言は寝てから言ってください。
そんなにやる気満々でも、ローマには対外遠征をする余裕なぞありません」

「ひ、ヒジカタさんは、相変わらず厳しいなぁ~でも、さ、あるじゃないの。少量の兵で僕の英雄伝説に花を添える国家が?」

「…診療所はこちらです
ゆっくりご静養しましょう」

「僕は病気じゃない!カルタゴだよ!カルタゴ!」

「…カルタゴですか」

「そう!今の元首は誰だか知っている?
英雄ハンニバルさ!」

「…ほう、英雄ハンニバルですか

確かに素晴らしい能力です。
高いカリスマ性をお持ちだ…ただ、それ以外は全くダメですな
史実的なのかどうかはわかりませんが、政治家タイプで戦争はからっきし、ですか」

「で、でも英雄には違いないさ!」

「貴方よりはるかにね」

「戦いになれば勝てるよ!」

「戦うのは貴方ではありませんからね」

「ま、まぁ、実際に戦うのは兵士だけどね。僕も指揮官として頑張るつもりさ!」

「そんなことはさせませんがね」

「ヒジカタさん!貴方の言葉には愛が無い!」

「入れても無いのに、あるわけないでしょう」

「し、しどいわ!ヒジカタさん…しどい!」

「まぁ、確かに先日、評議会でもカルタゴ制圧の決議がなされたところです。良いでしょう。長年の遺恨に決着をつけるとしましょうか…」


「さっすがヒジカタさん!男の決断はそうじゃないとね!やるときはやらないと、男じゃないよね!」

「だから、貴方には何もやらせませんと言っているでしょう」

「何で!?」

「前回マケドニア戦の時に、三倍の兵力差で勝利したのに、損害が相手より上回った人物を誰が指揮官に任命しますか!」

「ひぃいいい、それは」

「とにかく、最高指揮官は後ろで偉ぶっていれば良いのです!勝手に動いたら、叩き斬りますからね!」

「は、はい!」


ローマ軍は二万の兵力をもって、カルタゴ領に強襲した。
だが、カルタゴの主力は属国であった旧ヌミディアへと移動を開始しており、戦闘の無いまま都市戦へと移行する。
ローマ軍の首都攻撃にきびすを返したカルタゴであったが、ローマ軍の総攻撃にあい、わずか一ヶ月で首都が陥落。
カルタゴは一戦も交えぬまま滅亡することになったのである。



「英☆雄☆伝☆説!ここに極まる!
我が名は間違い無く歴史に残るであろう!」

「…はぁ…ま、それはともかく。捕虜はどうします?」

「…え?捕虜?
って何?」

「…捕虜は捕虜です。カルタゴ制圧時に捕まえた指導者達です。一部はむしろローマに亡命を希望していたので受け入れましたが、どうしますが?」

「…捕虜の扱いなんて聞いたこと無かったけど、今までどうしてたんだい?」

「今までは、全て解放していました。一応、資産を没収して処刑することも追放することもできますが、圧制度が高まってしまいます」

「今回もそうすればよい!偉大なるローマの英雄の太っ腹のところを見せるのだ!」

「ハンニバルもですか?」

「…え?あいつも捕まっていたの?そりゃまずくない?だって、アイツ、カリスマめちゃ高かったよね?」

「はい。そうです、ね。無能ならば害があっても大したことになりませんし、軍事力があれば将軍としてやとえます。技量があるなら政治家としても用いますが、カリスマが高い人物は…少し頂けませんね」

「なら、そのまま牢屋に入れておこう。できるんだよね?」

「はい、可能です。死ぬまで牢に入れて置く事はできます」

「ならばよし!無駄な血を流さない、この心の広さ!民衆は、偉大なる英雄の度量の高さにひれふすのは間違い無しさ!」

「死ぬまで牢屋に入れるほうが残酷だと思いますけどね、僕は。」

「ひ、ヒジカタさ~ん。厳しいよ~」

ローマな休日-第十話「カルタゴ滅亡」
ローマな休日-第九話「目標マケドニア」
ローマな休日-第八話「イリュリア崩壊」
ローマな休日-第七話「サイは投げられた」
ローマな休日-第六話「欲望の挽歌」
ローマな休日-第五話「蛮族襲来」
ローマな休日-第四話「殲滅エピロス」
ローマな休日-第三話「攻撃マグナ・グラエキア」
ローマな休日-第二話「交易と外交」
ローマな休日-第一話「周辺状況」
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